Close

消費者トラブル・クレーマー対策 | 札幌で企業法務に強い顧問弁護士 法律相談は【前田尚一法律事務所】へ

 

消費者保護の問題は、裏返せば、企業に対する規制の問題でもあります。

消費者を保護する法律(「消費者保護法」)は、消費者の権利意識の高揚を背景に、消費者に有利に進化し続けている法制度です。取引が無効と扱われることがあり、事業に大きな支障を来すこととなるばかりか、違反行為に対する行政指導や刑事事件(刑事罰)に発展することもあり、不祥事として社会問題化することもあります。

 

消費者保護法と一言で表現しましたが、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」及び「割賦販売法」のほか、「訪問販売法」、「貸金業規制法」、「利息制限法」等にも及ぶものです。

 

企業は、その取引形態に応じて、各法律の内容を十全に理解し、適切な契約書を作成して苦情・紛争の発生を極小化しておくとともに、苦情があった場合には、消費者紛争に発展することを極力防止し、紛争化した場合には、事態を的確に見定め、早期解決を図る必要があります。

また、これらは、日々の活動の中でも生かさなければならず、例えば、苦情があった場合のクレーマー毎の見極めも求められます。

なお、クレーマー対応等の取り組みを誤れば、労働者の権利意識の高揚の進行している中で、従業員の退職にもつながり、構造的な「人手不足」時代において、企業の致命的欠陥ともなりかねません。

 

着眼点・解決手段などの個別的問題については、別稿に譲ることとし、次に「コンプライアンス」について述べておきましょう。消費者問題は、正に「コンプライアンス経営」の典型的な場面だからです。

 

「コンプライアンス」がお題目になって失敗しないように

「コンプライアンス」という言葉がよく使われますが、日本では、しばらくは、「法令遵守」という意味で用いられることが多かったようです。

しかし、法令を順守するというのは当たり前のことです。それにもかかわらず、コンプライアンスが叫ばれるのは、〝社会の要請〟と捉えるべきものだからです。

 

このことは、コンプライアンスが重要視されるようになってきた背景を理解すると、よりわかりやすいです。

2000年以降、消費者や投資家に被害が及ぶ企業の不祥事が多発しました。そのため、企業の違法・背信的行為に対する社会の目の厳しさが増しました。

利益優先で活動することが企業のリスクを大きくし、「法令遵守」を普段から重視する企業、あるいは不祥事が起きた時点で法令にのっとった解決を図る企業は、その価値を高める状況となったのです。

 

しかし、「コンプライアンス」という言葉自体は、うまく出来たスローガンです。

現在でも、お題目になりがちであり、軽視すると、大きな失敗になりかねません。起きた問題、起きることが予想される問題については、現場段階で具体的に把握した上、その本質をつかんで対応しなければなりません。

 

少し古い話になりますが、「コンプライアンス」が大きな声で叫ばれるようになった頃の具体的な事例を挙げて見ましょう。

不祥事報道があれば、世論はマイナスイメージを持ちます。初期対応を誤り、社長の小さな失言からグループの解体に至った雪印乳業のような例もあります。

 

一方で、不祥事をテコに企業イメージを向上させた例もあります。テレビ通販のジャパネットたかたです。

同社の03年の売り上げは705億円でしたが、04年に51万人分の顧客リストを流出させ、売り上げが663億円にまで落ち込みました。

しかし事件後、テレビや新聞で謝罪を繰り返し、消費者に適切な対応をしたことが評価され、10年の売り上げは事件前をしのぐ1759億円に達しています。

 

ある出来事が一人歩きして、何倍にも増幅したマイナス評価となることもあれば、大きなプラス評価に転じることもあるのです。その原動力となるのは「目に見えない大衆の声」であることを押さえておくべきです。

 

消費者・クレーマー対策―消費者紛争の一例を素材に

苦情を持ち込むクレーマーの性格・性質は多様です。

営利活動を行う企業としては、誠実に、広めに対応するのが適切ですが、それでも、毅然と対処すべきクレーマーが存在するのも事実です。

 

基本的に、苦情があった場合には、消費者紛争に発展することを極力防止し、紛争化した場合には、事態を的確に見定め、早期解決を図る必要があるとはいっても、後に遺恨を残さないための慎重な対応が必要な場合があります。

ご参考まで、当事務所で顧問先の商品取引業者の訴訟代理人として担当した事例をご紹介いたします。

「金融・商事判例」という著名な判例雑誌で、次のような題名で紹介された事例です。

 

商品取引業者の外務員らの商品先物取引の勧誘に適合性原則の違反があったとして商品取引業者の不法行為責任が認められた事例
(札幌地方裁判所平成20年2月26日判決)

 

この題名だけでは、一見、商品先物取引の勧誘の適否が問題となったごくありふれた事案のように見えます。

 

しかし、顧客は、実際に保有する金融資産が900万円程度であるのに、自らわざわざ投資可能金額を2000万円と過大な設定を申告したため、実際保有する資産に比して取引規模が拡大したことにより、損害の拡大を招いたものであること、顧客の年齢及び経歴、商品取引業者の外務員の説明内容及び方法からみて、顧客は、少なくとも商品先物取引の仕組みや危険性は理解していたはずなのに、投機に対する安易な興味から、外務員の取引の勧誘に応じて先物取引を始め、拡大して損害を招いていることなどの落ち度があったことを認めるなどして、裁判所は、5割に及ぶ過失相殺をする判断をした事例です。

むしろ、

商品取引業者の外務員らの商品先物取引の勧誘に適合性原則の違反があったとして商品取引業者の不法行為責任を認めたが、5割の過失相殺を認めた事例

というのが、裁判所の判示事項としては正確です。

企業としては、争うべき場合には、時間と労力をかけて争い、筋を通さなければならない場合がある、という実例です。

 

今日の課題

冒頭で述べたとおり、消費者保護法は、消費者の権利意識の高揚を背景に、消費者に有利に進化し続けている法制度であり、不祥事として社会問題化することがあることに加え、これまで平然と行われてきたクレーマー対応の従業員の「丸投げ」を改善しなければ、労働者の権利意識の高揚の進行している中、従業員の退職にもつながり、構造的な「人手不足」時代において、企業の致命的欠陥ともなりかねません。

 

企業活動のための消費者対策は、こういった現代の社会情勢も踏まえ、早急に対処すべき問題です。

現実にトラブル化、紛争化した場合はもちろんですが、ふと不安が頭をよぎった場合は、すぐにご相談ください。

前田尚一法律事務所西11丁目駅2番出口徒歩5分

アクセスマップ